猟盤日記20170712
渋谷でお仕事の帰りHMVを覗く。いつもは7インチに直行なのだが、今日はなんとなく12インチからチェックしていく。
コーネリアス「Star Fruit Surf Rider(single version)」
マタドール盤の12インチ。割と安値で出ていたので抜いてみた。Aphex Twin のドラムンベース的なアレンジで90年代っぽい音なのだが、不思議と古びないのは、どこかに堂々たるポップス感というか歌謡曲感のようなものがあるからだと思っている。もう20年も前のリリースなんて信じられない。
「トマトイッパツ」収録のスペクトラムの1st。いわゆる名盤。これも安く出ていたので抜いてみた。スペクトラムはわかりやすいAW&Fリスペクトなのだけれど、今は誰もそんな風には聴いていない。アース感というのもまた現在では歌謡曲感に内包されているからだろうか。
7インチも一枚抜いた。
ムシ声系の亜流として人気の高いトッポジージョ。ジャケがないのでかなり安値になっていた。藁半紙にタイトルとレコード番号がかかれた紙が入っていた。B面の「トッポジージョのワンツーかぞえうた」が音頭ものでなかなか素晴らしい。
猟盤日記20170711
北口と南口に一件ずつあるとのことで、まずは北口へ。
思っていたよりも狭めの店内で、とりあえず7インチ箱を見る。しかしタイミングが悪かったのか、どこにでもあるような品揃えで珍しいレコードはまったく見つからない。100円箱クラスのレコードに軒並み300円以上の値付がされていてゲンナリさせられる。たまに登場するレア盤は誰が買うんだレベルの値段で、なかなかに忍耐を必要とするDigだった。LPも同じく厳しい状態だったが、こんな時こそ意地でも抜かねばと却って気合が入ってくる。ようやくお手頃価格のレコを見つけ2枚抜く。
バービーボーイズ「3rd.BREAK」
バービーボーイズ「Listen!」
それほど安くはないが、いつか買おうと思っていたのでまとめて抜いてみた。
まあ、レコードヤクザか何かが通り過ぎた後だったのだろうと自分に言い聞かせ退店。
せっかく遠くまで来たので南口店も覗いてから帰ろうと移動するが途中で「ほんやら洞」に遭遇。
美味しいチキンカレーとラッシーをいただく。店内BGMはボブ・マーレー「Get Up Stand Up」だ。忘れかけていた中央線ラスタファリズムに触れ、ほっこり。
そこからすぐ近くに南口店があった。
広めの店内にレコードがぎっちり並んでいてテンションが上がる。7インチの量はかなりなものがある。面出ししているレコードのレベルも高い。
安レコもそれなりにあった。
小堺一機と佐野めぐみ「今夜だけ少年に帰りたい」
安レコ箱にあれば買うレベルになりつつある小堺一機。最も欲しかった一枚を安レコで引けてよかった。ラウンジ歌謡とシティポップのミッシングリンクを紐解く上で重要案件になりつつある盤ではないだろうか。バブル風味をプラスしたラウンジ歌謡感が素晴らしい。B面は小堺一機が得意なスイング歌謡。
井上和彦「あいつは噂のバイシクル」
「美味しんぼ」の山岡役でおなじみの声優井上和彦の1stシングル。まったく知らないレコードだったが、タイトルとジャケのインパクトがハンパない。アレンジ、歌詞、メロディ、コーラスがどれもがいなたい感じで絶妙なハーモニーに唯一無二さを感じずにはいられない。
二科恵子「恋のキラキラダンス」
これはB面の「ミッキーマウスメロディ」狙いで。どこかで一度だけ聴いたことがあったのだが、まったく素性がわからず探すに探せなかったが、こんな形で再会出来るとは。サビのスキャットは一度聴いたら脳から離れなくなる程の強い中毒性がある。クレジット上は海外のカバー曲ということになっているが、元曲は調べてもよくわからず、アーティストの素性や、なぜミッキーマウスなのかを含めいろんな意味でミステリアスな一枚。安レコではないが市場価格より安く出ていた。
結果的にいうと珍屋は素晴らしいレコ屋でした。
帰り際に駅前の「多古屋」という店に。入ってから20年ぐらい前に来たことがあるのを思い出した。タイムサービスの一杯100円のチューハイを飲みつつ鯵のなめろうを。
猟盤日記20170629
以前、新橋にはレコ屋がなくてつまらないと書きましたが、実はいい感じのお店があるのだと聞き、訪ねてみました。
しかもあの中銀タワーの近くに。
中銀タワーの近くということは
あのアンダーグラウンド中華・帝里加の近くでもある訳です。
一瞬レコ屋とは思えない外観。
しかし、
ここがキキミミレコードでした。
小さなお店ながら50円から300円の価格別安レコ箱があったりして最高でした。
デュークエイセス「浦安市民の歌」
いずみたく作曲の地元ソング、ディズニーランドの影もない時代の浦安賛歌。
言わずと知れたアレ。相場より高めだったのですが、これも何かの縁だと抜いてみました。
吉田拓郎「流星」
昔から深夜ラジオとかで良く流れていたこの名曲が鈴木茂案件だとは知らなかったので抜いてみました。
時間がない中の慌しい訪問でしたが、次はゆっくり見てみたいです。
猟盤日記20170628
久々に渋谷の安レコ巡回。ユニオンの1000円未満2枚以上半額システム狙いで、7インチ棚を掘る。
クリッパー「BOY」
フィリピンのフィンガー5とのポップ書きと、都倉俊一作曲とのことで抜いてみた。フィンガー5は日本のジャクソン5なので、再輸出ということになるんだろうか。両面共に割とメロウな曲調で、I'll Be There っぽい感じ。
吉沢京子「すっ跳べ青春」
「16歳は感じちゃう バツグン女子高校生」というロマンポルノチックなタイトルの映画の主題歌。もちろんポルノではなく東宝青春映画なので、爽やかな青春歌謡。ブラスアレンジがカッコいい。
The Police 「ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ(日本語版)」
スティングが日本語で歌う、究極のカタコト歌謡。カセットテープのCMソングだった気がする。
ちょっと前まで100円箱でみかけるレコードだったゲワイが、最近は価格上昇の兆し。ここらで押さえておくべくか。
これは安レコではないが、割引適用だったので買っておく。この曲がひょうきん族で流れていた頃は、土曜日の夜は寝るしかない子供だったが、このキラキラした音に楽しげな夜遊びの世界を垣間見たような気がした。まあ、端的に言って名曲です。
その後HMV渋谷の100円箱を漁る。
クリエイション「スピニングトーホールド」
状態も良く普通に7インチ棚に700円くらいで並べても買い手がついただろうに、なぜかエサ箱に。このあたりにレコ客を本気で取り入ろうという意欲が見てとれる。
テリー&ドリーのファンクステーマ曲。
ジャケ絵も素晴らしい。
岩井さゆり「恋あなたしだい」
銀蠅一家モノが大量にあったのだが、不勉強なのでなかなか手が出せずに、これ一枚だけ抜いてみた。ロックンロールとアイドルは相性が良い。
森山良子「悪っぽい人だけど」
銀蠅一家と並んでいると森山ファミリーと地続きな気さえしてくる。ロジャニコ的な空気もある良レコでした。
ボサリオ「サンホセへの道」
セルメンプロデュースの廉価版のブラジル66。 B面はフィフディメカバーの「ビートでジャンプ」なかなか良い感じ。
南沙織「17才」
最近ネットで観たサンダンス受賞のインディムービーで使われてたのが印象に残っていて、なんとなく抜いてみた。聴けば聴くほどに名曲。
その後、FaceRecordに移動。
やまがたすみこ「ムーンライトジルバ」
これが400円で出てたら買うよね?でも塩ビ焼けがすさまじく、ノイズがひどい。検盤すればよかった...まあこの値段ならジャケ観賞用でもしょうがない。
それでレコファン50円箱コーナーに移動。すぐに見つかったのがコレ。
三田明「タートルルックのいかす奴」
ジャケ全面に落書きされた汚レコだから安いのかと思ったら、三田明本人のサインだった。ジャケもメロもアレンジも歌詞もタイトルも、すべてがいかしてる素晴らしい一枚。
ダウンタウンブギウギバンド「裏切者の旅」
これは完全にB面のファンキーグルーヴ「ア!ソウ」狙いで。チャプスイロック系のレコにも同タイトルのファンキーな曲がいくつかあった気がする。何かつながりがあるんだろうか。
桑田二郎の漫画とは無関係のこなれてない感じの歌詞がなんともいい感じ。
浅香唯「セシル」
畑中葉子さんがライブで歌っているのを観て、良い曲だなあと思って探していた一枚。秋っぽい感じでしみじみしちゃうね。
猟盤日記20170627
いろいろ限界だったので仕事を休んでレコードを聴いて過ごす。
カヒミ・カリィ「ハミングがきこえる」
渋谷系ちびまる子ことカヒミ・カリィの最高傑作。HMV渋谷で4800円で売られていたが、その場でメルカリを見てみたら遥かに安値で出ていたのでポチる。今だと絶対7インチでのリリースなんだろうけど12インチプロモ盤風にしてCISCOなんかで売るのが当時のオシャレだったのだろう。
前々からいつか買う予定だった一枚だが、伊集院光のアレコードで紹介されてから一気に入手困難、価格も倍々ゲーム状態。さっさと買わなかったことを激しく後悔。なにが起こるかわからないので見つけた時が買い時なんだなと反省。
先週ヤフオクに出品されたので気合で落札。それなりの落札金額だったが、この日のために溜めつづけたTポイントで精算してやったので楽勝。内容は素晴らしいの一言。
猟盤日記20170618
レコ屋に中々行けないので、ヤフオクでの落札も勢い多くなってしまうのは致し方ない。
「ハイ‼︎きまりました」
最近購入が増えているテレビまんが主題歌集。子供向け番組は実写でもアニメでも一括りにテレビまんがと呼んでいたらしい。タイトルは何がきまったのかは謎だが、中々のハイセンス。A面1曲目が前川陽子「おんぶおばけ」で、B面1曲目が堀絢子&グリンピース「新オバQ」とオバケグルーヴの2大巨頭が収録されているのも唸らされる。どちらも7インチでは5000円超もしかねないので、超絶お買得盤でした。
チャクラ「福の種」
ニューウェーブ文脈でも音頭文脈でも使われる汎用性の高い一枚。今後も値上がりしそうな盤だが、なぜか安く買えた。
Char「Char」
これも言わずとしれた名盤だがジャケ破れあってかなり安く買えた。しかし素晴らしい。日本の宝だな。
仕事が思いがけず早く終わったのでレコードコンビニのダブルキャストへ。着けるのが終了10分前だったが、プロ野球音の球宴がゲストの野球回なので、これは延長戦あるかもと踏んで向かうことに。
結果からいうと最高でした。延長もあって1時間くらい楽しめた。コンビニDJ史上屈指の盛り上がりだったのではないでしょうか。音球常連のお客さんたちが球場マインドを持ったオープンハートな人たちが多かった事もあるんでしょうか。
勢い付いて高円寺コネクシオンに移動して「6月の天使ナイト」。
こちらも最高でした。PSY.Sのこのレコード欲しい。手に入るようなものなんだろうか?
猟盤日記20170604
汚レコード展を見に東陽町ダウンタウンレコードへ。レコードジャケットなどに書き込まれた落書は独特の魅力があるもので、ハードオフなどでいい感じの書き込みのあるレコは思わず買ってしまうことも少なくない。そうしたレコードを「汚レコード」として存在を認めていこうというのが、この企画の趣旨らしい。落書きは大体査定を下げるものでしかない。ダウンタウンレコードでは、いい感じの「汚レコード」は積極的に評価して、時には査定にプラスしていこうというのだ。レコードの面白落書きにニヤニヤしたことのある人なら、なるほどと頷けるはずだ。自分のレコード棚にもそういう理由で買ったレコードが何枚かあったので、良い機会なので店長に査定してもらうことにした。
松本伊代「ポニーテールは結ばない」
右上に〝裏面大よい〟と書かれているが、B面が特に良い曲という訳ではなく、残念ながらこの方とは意見は合わないようだと思いつつジャケ裏側を見ると
「今日も一日元気で下 、毎日々大切な日び」と謎のポエムが。水着の上にノースリーブを着た伊代ちゃんとも相まって、思わずほっこりしてしまう。「裏面大よい」とは、B面のことではなく、このポエムと写真のアートワークのことだったのだなと膝を打った。
フィルム スタジオオーケストラ「シェルブールの雨傘」
相合傘のドヌーブとカステルヌオーヴォの上に描かれた雨筋を罫線に見立てて手紙を描いた小粋な汚レコード。よく見るとこの雨筋も自分で万年筆で書いてるっぽい。劇団に入って初公演を迎えた〝えんちゃん〟のために〝おしら〟の考えた気の利いたお祝いだが、これが私の手元にあるということは、おそらく〝えんちゃん〟にとってはありがた迷惑だったのかもしれない。映画のような切ない余韻を残す汚レコードだ。
ジャケに黒々と描かれた黒い痕跡に思いを馳せずにいられない一枚。あの日勢いに任せてユッコに捧げたメッセージを、翌朝反省して丁寧に塗り潰したのだろうか。この黒の奥に秘められた心の傷の大きさを思わず想像してしまいそうになるが、やはり彼もこのユッコを手放して新たな恋をはじめたのだろう。すべては時が癒してくれるのだ。
これら3枚を店長は200円で買取ってくれた。同盤の通常買取価格の20倍だという。
これに600円足して1枚レコを買った。
森光子「時間ですよ〜東京下町あたり」
ヤマタケのソフトロックに、可愛らしい森光子のボーカルが絡む。店長は「私、これ聴いて森光子のこと好きになっちゃいましたよ」と。その一言だけで即購入を決めた。
東京下町あたりにしかない、あたたかなレコードトレードに触れた気がした。